民泊を始めてわずか半年、 もうすぐ私は300万円を失います。

民泊を始める前に、どうしても知ってほしい 「転貸型民泊」の現実と注意点

サラリーマンが民泊で副業!うっかり違法なことをしないように

「副業でお小遣いを稼ぎたい!」年収がなかなか上がらない昨今、そのように考えるサラリーマンの方も多いと思います。そのような方に、いま話題沸騰中なのが「民泊ビジネス」です。日本でメジャーになったのはここ2年くらいでしょうか。

 

「手軽に始められて高収入」しかも「代行業者に任せれば不労所得の完成」という魅力的な触れ込みで、どんどん参入者が増えているようです。かくいう私もその一人でした。

 

しかし、この民泊、収益的にもリスクが大きいほか、やり方によっては法的にもリスクが大きいビジネスです。違法な民泊運営については、様々なメディアでも取沙汰されていると思いますが、簡単に整理してみましょう。

 

自分も痛い目にあっているから言えますが、私は「小遣い稼ぎ」程度であれば、民泊でここまでの法的リスクは負う必要がないと思っています。


世間から冷たい目で見られる民泊運営者

最近では、民泊の負の側面がメディアでクローズアップされるようになりました。それに伴って、法的リスクが徐々に顕在化してきたように感じています。メディアの報道によると、民間レベルで違法民泊施設を密告するホットラインのようなものまで現れたようです。

 

この動きはまだ小さなものですが、今後、あなたの民泊施設に気が付いた近隣さんが、行政に告げ口する可能性は十分あるでしょう。もし行政に目をつけられると、立ち入り検査などに発展し、強制的に撤退させられるリスクも多分にあります。

 

マンションの管理組合でもこの問題が厳しく取りあげられるようになりました。特に住民の目が厳しい分譲マンションでは、次々に管理規約で「民泊禁止」を打ち出しています。古いマンションなどでは民泊という概念を想定していないため今はまだ禁止していないこともありますが、この1~2年で規約が改定される可能性は十分あります。

 

事実、私が運用していた物件も管理組合とのトラブルに巻き込まれ、痛恨の「撤退劇」を演じることになりました。何と初期投資+損失額の合計は300万です。撤退が完了するまでに家具代や契約金などの初期投資を回収できていれば問題ないでしょうが、そうでなければ、丸々損失が確定してしまいます。

 

法的にグレーな状態で勝負しようとすると、そんな撤退リスクも考えておかねばならないのです。(私は全然回収できませんでした。)仮にあなたが撤退することになったとしても、誰もあなたの損失を補てんしてくれることはありません。法的にNGなビジネスを始めたのですから、まぎれもなく100%自己責任。そう考えると、民泊って、結構リスクが高いと思いませんか?


4種類の民泊 出来れば適法民泊を目指したほうが安全です。

出来れば適法を目指す、これは私なりの教訓です。いくら管理組合から文句を言われたとしても、私の民泊運営に法的に問題がなければ、私も撤退という選択はあり得ませんでした。法的に問題があったからこそ、何も言えなくなったのです。「何とかなるだろう」と思って始めたグレーゾーンの商売には、世間様からの同情も救済はありません。

 

だからこそ今からやるならば、私は適法にこだわりますし、周りにも適法に始めることをおススメします。なお、民泊は法的に分類すると以下のようにまとめられます。 

◆旅館業法に基づく民泊(簡易宿泊所

旅館業法に基づいて、許可を得た合法の民泊です。法律上は、「簡易宿泊所」となります。後述する特区民泊等と異なり、営業日数の制限が無く、宿泊日数の制限もありません。ただし、住居専用地域では開業できない点や、消防法、建築基準法等で厳しい条件が課されるので、許可を取るのが難しい民泊の形態となります。なお、平成28年4月の法改正によって、簡易宿所営業の許可要件であった客室延床面積(33平方メートル以上)の基準が緩和され、一度に宿泊させる宿泊者数が10人未満の施設の場合には、宿泊者1人当たり面積3.3平方メートルに宿泊者数を乗じた面積以上で許可を受けられることになりました。また、一度に宿泊させる宿泊者数が10人未満の小規模な施設であれば、玄関帳場等(いわゆるフロント)の設置を要しないことになったのもポイントです。

◆特区民泊

国から指定された国家戦略特区という特区の中で「民泊条例」という条例を制定した自治体の中で営業できる民泊です。2016年9月現在では、東京都大田区大阪府のみが対象。宿泊日数の制限が課されていますが、国家戦略特区諮問会議で制限緩和が検討されていますので、今後の動向が注目されます。

◆(通称)新法民泊

通称「民泊新法」で規定される宿泊施設です。民泊新法の対象となるのは、これまで旅館業法に当てはまらなかった「既存の住宅を活用した宿泊の提供」です。新法民泊の特徴は、手軽に民泊を始められる点です。住宅を宿泊施設として貸し出すことが出来るので、住宅専用地域での営業も可能です。また、旅館業のような「許可制」ではなく「届出制」なので、手続き的な負担も少ないのが特徴です。今の民泊の実態に最も近い形態と言えます。ただし、ネックとなるのが営業日数の制限。新法民泊では、営業日数の上限が年間180日未満となります。これではほとんど採算が合わないので、民泊関係者から苦情や陳情が相次いでいる状況です。

◆違法民泊

おそらく、今出回っている民泊施設のほとんどがこれだと思います。旅館業法にも、民泊条例にも基づかない民泊施設です。(ちなみに民泊新法はまだ施行されていません)。ですから、法律的にはグレーというよりブラックです。行政に指摘されれば罰則の対象ともなりますので、法的に言えば最もリスクが高い運用形態です。さらには、貸主に無断で転貸して民泊運用する「ダマ転」なる形態もあります。正直収益性はもっとも高いでしょうが、法的リスクは一番高いでしょう。

 

違法だと本業バレも要注意です! 

適法な運営は、最初に手間はかかりますが後々ストレスがありません。事業収支さえ合っていれば、撤退するリスクは非常に少なくなるので、安心してビジネスに取り組めます。

おそらくやりやすいのは新法民泊でしょうが、いかんせん上限180日は厳しすぎます。ですから、やるなら特区民泊か、旅館業法の許可を取って簡易宿泊所でしょう。

私なら旅館業法の許可を取るために、用途地域を選びます。第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域の6つの地域なら適法です。あとは、どうしても分譲マンションでやりたいならば、管理規約に抵触しないか、その確認は必須だと思います。

小遣い稼ぎを目的としたサラリーマンが違法な形態で民泊を始める。これって相当なリスクだと私は思います。下手に会社にばれたら、本業にすら影響が出かねませんので、くれぐれもご注意を。